教授
大島 研郎
Kenro OSHIMA
植物も、ヒトや動物と同じように病気にかかります。病原体がどのように植物に感染するのか?そのメカニズムを解明することは、病気の治療・予防につながる重要なテーマです。私の研究室では、病原微生物が植物に病気を引き起こす仕組みを分子レベルで解明することを研究テーマとしています。ゲノム解析などの最新技術を活用して感染メカニズムを解き明かし、植物を病気から守るための新たな分子基盤を構築することを目指しています。
・植物に病気を誘導する原因遺伝子の同定
・宿主特異性に関わるゲノム領域の探索
・植物の形態形成を操作する分子メカニズムの解析
・社外国から導入した樹木の病気の研究
・人工培養が困難な微生物のゲノム解読
・病原体を効率よく検出する新規診断システムの開発
・植物を病気に強くする新規物質のスクリーニング
当研究室で研究対象の一つとしている微生物「ファイトプラズマ」は、植物の篩部(しぶ)細胞内に寄生する病原体です。ヨーロッパで年間数億ユーロにのぼる被害を出すなど、世界中で多くの農作物に被害を与えており、この病気の蔓延を防ぐことが近年の重要な課題となっています。感染した植物は萎縮したり、枝分かれが激しくなるなどの症状を示すほか、花が葉に変化するなど、特徴的な病徴を示します。 一方で、この病気が商業的に利用されている例もあります。ポインセチアは、クリスマスシーズンになると欠かせない観賞植物ですが、最近好まれる枝分れが豊富で小さなタイプは、実はファイトプラズマが感染し、矮性化しているものなのです。ファイトプラズマが病気を引き起こすメカニズムを明らかにすることで、植物の形をあやつる新技術の開発に結び付くようなことも今後考えられます。
図1. ファイトプラズマ感染によって花が葉に変化したアジサイ(右) |
図2.( 左)ファイトプラズマ非感染ポインセチア( 右)ファイトプラズマ感染ポインセチア |